日本再生歯科医学会誌(略称:再生歯誌) 12巻1号 pp.11-22
2014.12.30
Journal of the Japanese Association of Regenerative Dentistry
(J Jpn Assoc Regenerative Dent)
ISSN 1348-9615


メラトニン投与による象牙質の組成や組織構造の変化に関する分析学的及び組織学的研究

1高知学園短期大学医療衛生学科歯科衛生専攻,2株式会社ファルコバイオシステムズ,3高知学園短期大学専攻科応用生命科学専攻,4東京医科歯科大学教養部生物学教室,5金沢大学環日本海域環境研究センター,6明海大学歯学部口腔解剖学分野,7日本大学松戸歯学部付属病院病理診断科,8岡山大学大学院医歯薬学総合研究科生体機能再生・再建学講座口腔形態学分野,9東京歯科大学組織・発生学講座

三島 弘幸1,門田 理佳2,尾ア 真帆3,服部 淳彦4,鈴木 信雄5,筧 光男6,松本 敬7,池亀 美華8,見明 康雄9


 本研究はメラトニンが象牙質の組成や組織構造に及ぼす影響を分析学的及び組織学的に解析することを目的とした.本研究は出生後5日,6日,7日令のSDラットを用いた.メラトニン投与群では象牙前質に石灰化球が多く見られ,投与濃度上昇につれ象牙前質中の石灰化球数は増加し,大きさも大きくなった.ALP染色は対照群と比べて高濃度群により強い青紫色のALP発現が見られ,メラトニン投与濃度が上昇するにしたがって,象牙芽細胞のALP発現が強くなった.SEM-EDS分析,EPMA分析では,昼間,夜間試料共に投与群でCa及びPが多く含有していた.顕微レーザーラマン分光分析は,PO43-ピークが高濃度群でピークが高く,半価幅も狭まり,メラトニン投与によって,PO43-の分子配向性,アパタイト結晶性が良好となった事が判明した.メラトニンは象牙質の組織形成を促進し,石灰化を亢進し,象牙質の石灰化に影響を及ぼすと考察される.


キーワード: 象牙質, メラトニン, 石灰化,アパタイト結晶

(原著論文)